論文 - 竹野 忠弘
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中小製造現場への「改善」展開における課題 査読あり
竹野 忠弘
経営学論集 89 (12)1 - (12)8 2019年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:日本経営学会
単著 中小製造業企業経営において,「作業改善」活動のみがもちこまれてしまうと人員削減や事業そのものの廃業· 転業などの問題を招ことが地元企業経営者やコンサルタントから指摘されてきた。すなわち量販量産の必要性がない場合や受注が「平準化」されていない場合,現場改善した中小企業は,少量の注文を効率的にこなすだけの「縮小均衡」に陥ると指摘されてきた。その結果,「改善」は経営者には「利益」 をもたすが,従業員には事業縮小と人員削減という不利益をもたらすことを指摘する。企業全体が事業を存続させ相互的な利益を得るには,経営側には「平準化」された注文を開拓できる製造体制づくりが必要となる。
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日本自動車メーカーのグローカル連携・経営戦略と共生主義
竹野 忠弘
経営学論集 68 01 - 10 2018年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 日系自動車メーカーの東南アジアにおける海外直接投資活動の最近40年間の実績から、国際分業取引型の経済的戦略行動理解・多国籍企業論に対して、グローカル連携型の経営的戦略行動が提起されることを検証した。このことは、多国籍企業の活動が、ローカル・ナショナルな社会の発展と対置する側面だけでなく、共存する可能性があることを意味する。換言すれば、社会発展にかかわる「共生」の実現が、条件によっては企業活動によって実現できることを示唆するものである。
その他リンク: http://www.jaba.jp/
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「日本・中京地域自動車部品関連加工企業における製造技術戦略の分析」 査読あり
竹野 忠弘
日本経営学会誌 経営学論集 86 1 - 10 2016年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:日本経営学会
単著 日本・中京圏のプレス加工業企業における、製造工程の設備改良による製造費用改善について、事例から検討した。そこから「中小規模」で「金属加工事業」を担う「設備」の操作・製法に利益・benefit(profitではなく)の源泉をおく、製造業経営の戦略を検討した。工芸技術もよる職人芸の経営とは異なる。さらに、後工程取りで頻繁な引きがあり在庫期間が短く、せっかく作ったものが売れないというリスクが低く、作業の管理や改善に集中すればよい、量産工場むけに確立されてきた、いわゆるメーカー・大規模企業の経営方法・生産方式とも異なる。メーカー経営では、「価格・利益(profit)」の源泉は製品仕様にもとづく「市場」による評価と、量産「工場」での主に作業の管理改善によって得られる利益・benefitである。
その他リンク: http://keiei-gakkai.jp/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e7%b5%8c%e5%96%b6%e5%ad%a6%e4%bc%9a%e8%aa%8c/
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日本型ものづくり・内製化事業原価改善の再考 査読あり
竹野 忠弘
日本経営学会誌 経営学論集 85 (05)1 - (05)10 2015年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:日本経営学会
マシニングセンタ工作機械日系メーカーにおける,原価低減を当初の目的に提起された「内製化」戦略を検討する。すなわち,本業部門である組立工程の改善・革新に加えて展開された,前方の調達部品の製造事業および後方の保守サービス・販売事業の「内製化」による取引原価の改善を目的とした戦略が,内製化後の技術蓄積を通じて新機能部品開発へと展開し,さらにこの開発新機能部品を介して業種内国際提携という同業種にとっては革新的な経営が構築されていった事例を検討する。それによって,取引原価低減という視点から「外注」が製造業においても志向されがちな経営戦略動向に対して,反対に内製化する,内部化することによる経営戦略の意義を確認する。
その他リンク: http://www.jaba.jp/resources/c_media/themes/theme_0/pdf/JBM_RP85-E88-2014_F_5.pdf
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日本アジア間連携的経営:経営上の適応と経営論の進化 査読あり
竹野 忠弘
日本経営学会経営論集 83 35 - 44 2013年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
従来,日本企業の対アジア国際経営戦略はアジア地域投資市場および同輸出市場に対応する経営問題として展開されてきた。これに対して,本稿では,アジアにおける事業展開を日本企業経営,特に製造部門の事業経営の革新の機会ととらえ,日系メーカならびに部品中小企業のアジア現地における活動事例について検討した。アジアにおける日本企業の製造業技術革新の要点は,既存の原価管理改善に依拠しながらも経営の方向性について発想の転換を図るということにある。
「『アジアは内需』の時代」に対応して「企業経営」を再検討する意義は,単に商品市場ならびに投資市場としての,アジアの潜在的・「内発的な」可能性を開拓することではない。もしくは,アジアという市場を,「文明」化して一元的な市場経済に包摂してグローバル市場の原理を適用できる領域,「規模の経済性」の原則にそって利益を回収できる領域を拡大しようというのではない。
「自律的発展を遂げるアジア経済圏に直面した日本企業」が,「どのように変っていくのだろうか.」,これまで日本で構築してきた「経営」のあり方を,個別の経営活動の「本質的な論理」,すなわち自由競争,利潤追求,融資という産業金融の形態が普遍的なであるのか,という点にまで遡って問い直し改善していく,いわゆる「思考の枠組み(パラダイム)」の転換を図ることが課題として提起されている。
アジアの多元性への対応のひとつには,この従業員の採用・雇用から就業管理,人材教育にいたる人事労務管理活動およびその制度や組織運営に関わる意思決定の仕方を招来の淘汰を回避して「生き残り」「進化」するための「意図的な革新」の「契機」とすることにある。マレーシアというアジアの多元性を集約的に示す文化社会のなかで,日系進出企業の「経営」活動が,特にイスラム的文脈の中に生活する就業者や従業員さらには経営パートナーと,日常的にどのような調整を図りかつ修正調整してきたのか,確認した。
今後の検討課題としては,例示したような,アジアの多元性を取り込もうとする中小日系加工製造業企業の取り組みについて,その供給の工程間における利益発生点および回収点の移動というビジネスモデルの革新および製造方法パラダイム転換について分析して,「シナジ効果」を通じて広く革新を生む経営戦略のフレームワークについての議論をふかめていくことである。その他リンク: http://www.jaba.jp/resources/c_media/themes/theme_0/pdf/JBM_RP83-E86-2012_T-S_2_R2.pdf
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日本の製造業発展戦略と世界経済 招待あり 査読あり
竹野忠弘
世界経済評論 54 ( 2 ) 41 - 50 2010年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 日系自動車メーカーのASEAN地域における海外直接投資事例から、グローバル企業とローカル産業の発展とのグローカル連携が可能であることを指摘した。これまでグローカル連携については、地域経済圏というサブ・グローバル市場圏・共同体として構成国が共同することによって、ローカル産業がグローバル企業と対抗して貿易・投資取引交渉上譲歩を引き出すことで、譲歩を得て連携的な関係を模索することが、EUなどでは図られてきた。これに対して、ASEANでは域内国際分業という共同生産という体制を共有することによってローカル産業間の結束を図り、ローカル間連携を模索する方策を展開した。しかしながら構成国間では共同生産よりもやはり自国の産業利害が優先してしまう。いずれにおいてもローカル間横の政治的連携は経済取引上の利害対立から機能しなかった。1990年代にASEAN共同生産自動車も頓挫した。こうした閉塞状況を第1次のIIMV(革新的国際多目的車)にいたる新しい車づくり・設計革新が緩和しはじめており、グローカル連携のヒントして注目された。
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グローカル連携型の経営行動:ローカル要因活用による経営行動 査読あり
竹野忠弘
経営行動研究学会年報 ( 17 ) 22 - 25 2008年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 ASEANにおける日系自動車メーカーの1980年代末頃からの2000年代に至る解体直接投資戦略について分析し、グローカル連携化要因として、域内国際部品分業、域内国際部品調達の事例からその端緒要因を検討した。ただし「分業」という視点から自動車製造業の育成を図る限りでは連携よりはあらためて競合が志向されることが明らかになった。
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「東海地域企業の工程間分業との連携による事業展開」 招待あり 査読あり
竹野忠弘
名古屋市立大学経済学会編『オイコノミカ』 10 43 - 63 2008年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 東海地区の自動車部品産業がASEAN地域で展開する新たな設計革新に基づく多国間での自動車製造プロジェクトにどのようにコミットできるかを検討した。基盤的部品の加工技術の中で、高度な加工については、日本・東海地区側で分業するという仮説で検討した。
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『愛知県産業集積の研究:平成 13年度分~平成 16年度』
竹野忠弘
『愛知県産業集積の研究:平成 13年度分~平成 16年度』 1 - 130 2006年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
愛知県地域製造業研究関連プロジェクト既出論文合本
愛知県地域への製造業集積について分析し、平成 13年度分~平成 16年度に「名古屋工業大学紀要論文」、「同大学産学共同センター報告書」、文部科学書委託名古屋工業大学産学共同センター研究報告に掲載された調査研究論文8本を合本編集。
全体を通じての要点は、愛知県は製造業集積は自動車・航空機・鉄道・飲料とその部品加工の機械産業集積の広範な集積があるという実態、その背景要因が素材集積・供給可能性と農業生産・潜在需要という要素が合わさった結果であること、である。 -
「日本製造業活性化と中京圏の産業集積」 査読あり
竹野忠弘
名古屋工業大学紀要 55 107 - 120 2004年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 愛知・岐阜・三重からなる中京圏における製造業集積の背景には、素材集積だけでなく、農業生産に裏打ちされた潜在需要があること、その結果、素材集積を活かす製造業が発達した。こうした製造業集積の背景・基盤を示すことによって「製造業活性化」の要点を提起した。
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経営デジタル化とモジュール化戦略 査読あり
竹野忠弘
経営学論集 2003年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
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大野耐一氏と本田宗一郎氏の現場主義経営 査読あり
竹野忠弘
経営行動研究年報 23 2003年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
「大野耐一」と「本田宗一郎」(竹野忠弘と佐々木一彰との共同執筆)
日本学術振興会科学研究費補助金研究・課題番号13430033「人材開発プログラムにおける経営者倫理育成の役割」(研究代表者:竹野忠弘、研究期間:2001年04月~2003年03月)における研究成果の一部。同研究では、トヨタ自動車の大野氏、ホンダの本田氏、SONYの井深大氏、パナソニックの松下幸之助氏らエンジニア出身経営者の経営者倫理の形成過程について分析した。競合する自動車メーカーの技術者でもありながら、豊田英二氏を介して親交のあった大野氏と本田氏との関係について検討について試論を報告した。すなわちいわゆる経営者間の倫理をめぐる人間関係について、生産管理技術面での知識共有にもとづく関係についての試論的に検討した。 -
「中京圏の産業集積とグローバルニッチ」 査読あり
竹野忠弘
『名古屋工業大学研究紀要』 54 ( 5 ) 177 - 188 2003年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 本稿では「グローバルニッチ」を、一般にいわれるような、高度の加工設備技術や高度の熟練による逸品・一品ものの特殊技術ではなく、①基盤的ながらも特定のBtoB市場加工において必須となる技術ととらえ、②むしろそれをより安価にフレキシブルに提供できる加工技術力を「ニッチ」として捉えた。こうした視点から、中京圏の製造業集積についてその事例として検討した。
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自動車部品モジュール化と経営戦略 査読あり
竹野忠弘
名古屋工業大学紀要 53 ( 4 ) 全14頁 2002年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 「モジュール」とは、独立した機能をもつ部品ユニットである。製品設計が「モジュール化」されることによって、製品はそのモジュール部品の組み合わせによりバリエーションを得ることができるとともに特定の製品モデルへの仕様の確定時期を延期化することができることで完成品在庫の軽減化を図ることが出来る。これに対して自動車製造は、特定の完成車モデルを頂点にこれにのみ約3万点の部品が特定化される形で製品設計・製造工程設計がなされてきた。しかしながら1990年代のグローバルな自動車部品業界および自動車製品設計の変動に適合するために、自動車製品設計および自動車製造設計における「モジュール化」革新が進展した。本稿ではこの「モジュール化」について、「モジュール」概念の検討にはじまり、その製品設計への影響と課題、製造工場工程設計の変更について、原理、製品、製造、業界再編という視点について検討した。
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「日系自動車製造業企業の部品調達戦略」 査読あり
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経営行動研究年報(経営行動研究学会) 10 ( 4 ) 81 - 84 2001年07月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 ASEANによるBBC(自動車製造業における同一企業の域内国際拠点間の部品の相互調達をめぐる減免・国産化比率加算制度)およびAICOスキーム(BBCの製造業品全般への拡張ならびに自動車に関する減免・国産化比率算定基準の改訂制度)の元での、日系自動車メーカーのASEAN域内拠点間での部品調達活動について、その国際購買戦略的内容を検討した。
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「アジア通貨・経済危機への日系自動車製造業企業の対応」
竹野忠弘 単独
名古屋工業大学紀要 52 ( 4 ) 1 - 21 2001年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 1997年前半から夏にかけてASEANおよびNIES諸国は次のような通貨経済危機に見舞われた。その結果、保有外貨の流出による経常決済資金の不足、通貨下落による輸入価格高騰による輸入部品価格の高騰など、ASEAN地域諸国での自動車製造の継続が困難に直面した。こうした状況のなかで日系自動車メーカーが展開した、ASEAN自動車産業における事業継続支援策について「通商弘報」記事の整理を中心に整理検討した。支援策としては、設備の買い上げと同時にリース設定を行うキャッシュバック方式による現地部品会社への資金投入、日本手直し経由による日本製輸出部品の代替輸出生産による操業支援などがあった。用途を不明に資金を総額供給や融資するのではなく、事業展開の具体的な状況に応じた支援策の展開が指摘できた。
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アジアにおける域内貿易および分業関係の検証-貿易統計による検討- 査読あり
竹野忠弘
名古屋工業大学紀要 51 ( 4 ) 123 - 142 2000年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 アジアにおける分業関係についてアジア経済研究所の国際貿易マトリックス貿易統計(それぞれの国で基準の異なる通関統計をIMFによる国際統計を交えて同所が整序した統計データ)から検討することを試みた。分業の進展を根拠づけるような貿易統計費目分類番号の特定とその集計など工数ならびに議論の必要な点が残った。問題関心への回答以前にこうしたデータ分析における制約要因があきらかになった。なお完成品レベルでの貿易概況については、既存の報告書等に紹介されたマクロレベルで集計された統計から、各国からのその輸出の進展が確認でき、工業化の進展・各種製品製造業の成長については確認できたが、あらためてそれが日本とのもしくはASEAN諸国間での国際分業の進展を示すものなのかは明確にできなかった。
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人材開発、技術移転とリージョナル・マネージメント:松下電器の事例 査読あり
竹野忠弘
名古屋工業大学紀要 50 ( 4 ) 107 - 121 1999年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 松下電器グループが展開してきた、各国ごとの製品別事業部制・「ミニ松下」方式および国際的な階層的人材育成制度について、マレーシア、シンガポールおよび日本・神奈川県における工場・同社研修所における取組を検討した。この研修制度・人材育成の体系は、単に松下グループという企業内の取り組みというにとどまらず、マレーシアやシンガポールの政府の職業人材育成政策と公的職業資格認定制度と連携して展開されていた。
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AICOスキーム(アジア産業協力計画)定着の可能性と企業戦略-工業化と政策協調、人材開発および企画戦略 査読あり
竹野忠弘
経営学論集 68 ( 4 ) 254 - 260 1998年09月
担当区分:筆頭著者 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 AICOスキームは、製造業品全般について関税を減免するとともに域内製輸入部品についても国産化比率に参入する制度である。これによって域内貿易の自由化を図り統合域内国際市場というサブ・グローバル市場圏構築をめざすものである。しかしながらこうした貿易自由化は競争の激化・行政の格差の拡大をうながすため産業や企業によって不振に陥る。国内産業の育成保護のため、例外条項の設定や各国の通関当局での制度の不履行・遅延が発生している。本稿ではこうした政策理念と現実の乖離の現状を紹介した。さらに進んでこうした不履行・遅延を前提に織り込んでの企業側の経営展開について紹介した。
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マレーシアにおける日系企業4社の人材開発戦略の事例 査読あり
竹野忠弘
経営学論集 第67集 ( 4 ) 236 - 241 1997年09月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 マレーシア松下電器、関連樹脂部品メーカー他4社における、マレーシア政府の技術者人材育成制度・技能教育学校制度からなる政策との連携関係、さらにはマレーシア工業学校への部品の加工委託など事例を現地調査の内容に基づき検討した。ここでの4社の事業展開に共通しているのは、単に製造コストや現地進出メーカー・現地市場への対応をめざして進出を図るのではなく、人材そのものを現地の学校・資格制度などの政策と連携させて経営展開を進めている点である。
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シンガポールの労働市場動向 査読あり
竹野忠弘
大原社会問題研究所雑誌 464 ( 4 ) 15 - 19 1997年07月
担当区分:筆頭著者 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 シンガポールにおいては、事務作業においては対岸のジョホール州・マレーシアからの、また作業においてはインドネシア、パキスタン、バングラデシュからの外国人労働力依存している。加えて銀行・保険・金融業においては、香港さらには外国籍の華人・外国人の労働に依存している。こうした政策的な外国人労働力の職業階層的な受け入れの現状とそれの就業・入国を規制する法的制度の運用について、現地の労働省、労働組合ナショナルセンターの研究所、入管局施設、現地シンクタンク、大学研究所の訪問、資料収集ならびにインタビューに基づき取りまとめた。
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マレーシアにおける日系企業の人材開発活動の事例研究:国際分業戦略の展開と現地人材の育成の現状と課題 査読あり
竹野忠弘
名古屋工業大学紀要 48 ( 4 ) 105 - 120 1997年03月
担当区分:筆頭著者 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 マレーシア政府による主に技能者育成教育制度および職業資格制度の体系と実施状況成果、今後の政策展望について、マレーシア人的資源省での聞き取り調査および現地進出日系企業工場見学・日本人技術者への聞き取り調査によりまとめた。なお研究は、日本・英国・マレーシア・シンガポールの間の工業技術者・技能者の公的育成・資格制度の国際比較とそれによる相互の技術者・技能者人材の取り組みの向上をめざす、拙研究の一環として行った。日本型制度はOJT中心に主に特定の会社の仕事の体系を多面的に修得していく制度である。これに対して英国型は職業職種別にモジュールとなった技能資格の習得を目指す制度となっている。経営はそうした資格・モジュールを組み合わせてなされる。マレーシアでは日本より、シンガポールでは英国よりという差はあるが、日本のあり方と英国の在り方を折半して展開する方式、日本就業経験そのものも資格の一部をなすという、緩やかな職業資格制度展開となっている。
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マレーシアにおける人材開発体制の現状 査読あり
竹野忠弘
国際開発研究 5 ( 237 ) 63 - 80 1996年12月
担当区分:筆頭著者 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 マレーシアにおける技術者・技能者教育をめぐる教育制度を概観するとともに、その職業資格制度の概要について示した。英国流の資格制度を核とする職業資格制度・教育制度の運用が、日本就業経験そのものを資格をみなすことによって緩やかに展開している現状を示した。
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日本における産業構造の変化と能力開発 査読あり
竹野忠弘
名古屋工業大学紀要 47 ( 241 ) 147 - 160 1996年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 外国の職業資格制度を軸とした職業教育制度との国際比較検討にむけて、足元の日本の制度や企業における人材育成の取り組みについて概観することが本稿の目的である。日本における職業能力評価は、欧米流の排他的な入職資格によらない。日本の職業関連の公的資格は、危険物取扱などのような特定の仕事をこなすうえでの要件資格となっている。実務上の職業能力については就業現場の現状に対応してOJTによって個別・柔軟になされる。したがって人材育成は会社組織を担う人材の育成を起点にしている。こうした中で個人を基点とする「能力開発」をどのように位置づけるか検討した。
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英国における人材開発政策をめぐる争点 査読あり
竹野忠弘
名古屋工業大学紀要 46 ( 236 ) 111 - 122 1995年04月
担当区分:筆頭著者 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 英国における人材育成政策・制度の体系について全体像の理解ならびに職業資格と個人との関係、経営における活用などの運用面の現状と課題をまとめることを目的に検討した。英国型は職業職種別にモジュールとなった技能資格の習得を目指す制度となっている。経営はそうした資格・モジュールを組み合わせてなされる。
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外国人労働者受け入れ政策の現状-マレーシア、シンガポールにおける事例(下)- 査読あり
竹野忠弘
世界経済評論 37 ( 5 ) 40 - 49 1993年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 東南・南アジアにおける域内国際労働市場の進展について、マレーシア・シンガポールを軸にその需給の全体の流れを整理した。ちなみにシンガポールは外国人労働力の階層的な受入国である。マレーシアはプランテーション労働については受入国であるが、製造業労働や事務労働については送出国である。インドネシアやバングラデシュ、パキスタンが受入国になっている。なお日本や台湾、韓国もこうした外国人労働力の受入国となっている。すなわち東南・南アジアの国際労働力移動圏・海外出稼ぎ労働市場圏は東・東南・南アジアにおよぶ。したがって外国人労働問題は、単に不法入国・不法就労の問題だけでなく、それと関係する就労条件や賃金支払いの格差・不正などアジア全域にわたる国際問題にいたっている。
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外国人労働者受け入れ政策の現状-マレーシア、シンガポールにおける事例(上)- 査読あり
竹野忠弘
世界経済評論 37 ( 4 ) 56 - 61 1993年04月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
下巻箇所に「概要」記載
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情報化現象としてのCIMの評価
竹野忠弘
経済評論 42 ( 4 ) 48 - 67 1993年04月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 電信通信手段での「情報」やり取り、いわゆる「情報化」の進展によって対面でのコミュニケーションが代替されると考えられてきた。しかしながら「情報化」の結果、対面でのコミュニケーションはむしろ増加していることが「情報化統計」と「運輸統計」とを対照する検討によってあきらかになった。すなわち、FAXやパソコンなどの電信電子機器の普及という「情報化」の進展と連動して旅客数の移動や貨物量などのコミュニケーションに関わる統計値も増加していた。その背景には、これまでの電話と手紙による情報伝達に代わってFAXでの地図や図表の電送が可能となることによって、人的なコミュニケーションの機会が増加・加速化されたことがあることが推論された。「情報化」は既存の経済活動・市場を代替するというよりも、その新たな可能性を開くものであるという展望が得られた。
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資本の国際化と多国籍企業の戦略-自動車部品の国際分業計画の事例検討 査読あり
竹野忠弘
東京都立工業高等専門学校研究報告 28 ( 4 ) 105 - 118 1993年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 1990年代初頭における、日系自動車メーカー3社によるASEAN地域における部品の域内分業戦略の展開について分析した。ASEAN地域諸国の自動車産業形成という視点から見ると、マレーシアにおける国内乗用車組立・販売を軸とする国産車政策が成功モデルとして展開する一方で、タイでは北米およびASEAN域内の輸出市場向け組立・販売を軸にした域内国際分業を軸とした国際分業モデルが模索されている。マレーシアの自動車産業モデルでは、国内乗用車市場むけを一社に集約することで自動車生産における「規模の経済性」を確保する国産車政策が取られ、さらにあらたな小型乗用車モデル・第2国産車の投入が図れていた。まさにマレーシアと提携するM社では、同時に同国以外のASEAN諸国、特にタイを中心に北米乗用車輸出にむけた域内国際分業戦略を展開していた。これに対して、N社はタイにおける商用車小型ピックアップトラック生産販売を軸に域内部品調達としての国際分業戦略を、T社はASEAN最大の人口大国インドネシアへの自動車国産化を軸に特にエンジン生産の同国とタイでの分業を軸とする域内分業モデルを模索しはじめていた。1980年代の自動車国産化政策モデルの結末としては、国内市場の一社への絞り込みモデルの成功と限界の結果としての①完成車の域外輸出と②部品の域内分業であった。
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経済発展論の思潮-南北問題の再考- 査読あり
竹野忠弘
東京都立工業高等専門学校研究報告 27 ( 180 ) 85 - 94 1992年02月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関等紀要)
単著 南・途上諸国は「周辺資本主義」、すなわち植民地化開発による①プランテーション作物栽培地への国土・農地の改造や②一次産品生産に特化した「不均衡」な経済構造に立脚しながら、北・先進国との経済取引関係、国際市場経済に参加している。こうした北・先進国に対して不利な条件を立ちながら、なおかつその先進国の多国籍企業との経済関係・分業関係に依存しながら、南の諸国が経済発展を図っていくためには、南北間の経済取引の公正化や国際秩序を求めるだけ、多国籍企業の活動・製造工程そのものの経営実態そのものの分析が必要であることを明記した。
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アジア地域における自動車産業の国際分業の展開(下) 査読あり
竹野忠弘
世界経済評論 33 ( 6 ) 60 - 65 1989年06月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
単著 1980年代末に至る、東南アジア地域における日系自動車メーカー3社の海外直接投資活動およびASEAN諸国の自動車産業の成長の動向を整理した。その結果、ASEAN諸国の自動車産業間で競合が発生するとともに、各国の部品生産の成長を制約する「規模の経済性」問題が発生した。その問題解決に向けて、日系3社が主導する形でASEANの多国間政策調整スキームとして部品の相互補完という形での自動車部品の域内国際分業計画が企業戦略として提起されるに至った。1970年以降、10年ごとにASEANにおいて競合を解消手段として国際分業政策が提起されてきたが分業部品の交渉をめぐって対立関係が繰り返され、国際分業による相互依存・共通市場圏という工業化の枠組みに疑問が提起されることになった。
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アジア地域における自動車産業の国際分業の展開(上) 査読あり
竹野忠弘
世界経済評論 33 ( 5 ) 61 - 67 1989年05月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌)
下巻箇所に「概要」記載。
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周辺資本主義の生産様式 査読あり
竹野忠弘
早稲田大学大学院経済学研究科 1985年03月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:学位論文(修士) 出版者・発行元:早稲田大学大学院経済学研究科博士前期課程
単著 世界経済システムとの連携による途上国の経済発展の可能性について検討した。従来、国際貿易にともなう先進諸国企業との「不等価交換」が文字通り経済=国際取引上の価値の国際流出を生みその結果、途上国の社会産業の発展を阻害することが指摘されてきた。これに対して本研究では⑴こうした経済取引=交易に起因して発生した途上諸国内部における産業「不均衡発展」にむしろ問題があること、その結果、⑵多国籍企業との間で「不平等」な取引関係に立たざるを得ないことを、経済発展論に関する理論書ならびにアフリカ・中南米についての調査文献から整理検討した。以降の研究課題として、産業、特に製造業のバランスの取れた構造像とその構築政策の調査研究という以降の研究の課題を得た。